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つれづれと

雑食おたくが綴る感想やら独り言やら写真やら。

【感想】バカフキ!

感想
『バカフキ!』
脚本・演出:大河元気
11/13~16◎全労済ホール/スペース・ゼロ
出演:藤原祐規、 大河元気、 植田圭輔、 汐崎アイル、 加藤良輔/川隅美慎、
新良エツ子、池永亜美/和泉宗兵

 

バカフキ!見ました!なんていうか、すっげーすごかったです!千秋楽も終わりネタバレ解禁となりましたので感想やらなにやらをまとめたいと思います。そして今回、この「バカフキ!」は話の内容だけでなく公演のありかたそのものが個人的にすごい高評価といいますか、ほかの舞台でもぜひ取り入れてほしいなって思ったことがたくさんあったので、そっちもほんのりまとめてみようと思います。以下ネタバレ多数です!DVDやニコ生をお待ちのかたはご注意くださいませ。


◆バカフキ!とは
俳優・大河元気さんの初脚本・演出作品。出演者のみなさんも大河さんご自身で選ばれたいわば同志たち。そんな彼ら、彼女らが集まって作られた熱い熱い舞台。
ストーリーは架空の国「大和國」で起こる戦いの物語。主人公のラゴたちがいる西の国・虎ノ穴と東の国・龍ノ巣が戦いを続けている世界。ラゴたちは虎ノ穴の忍者であり、龍ノ巣がひそかに研究しているという秘密兵器の正体を暴くために敵陣へと潜入。しかし捕えられてしまいます。ラゴたちはそこから脱出をし、新兵器の情報を持ち帰ることができるのか…みたいなのが、大まかなストーリー、です。
とにかく王道の少年漫画みたいなお話でした!敵がいて、戦いを挑んで、拳で語り合って、お笑いやお色気?やらがあって、裏切りがあって、でも信頼があって、友情、努力、勝利!みたいな。一本筋がぴしっと通った、清々しいまでの勢いのあるストーリー。タイトルの「バカフキ!」とは決して「バカなフッキーさん」という意味ではなく「バカな人たちの風が吹き荒れる」みたいな意味らしいのですが、その「風」をもろに感じる公演でした。終始風が吹いているイメージとてもわかります。勢いのある風と共にラストまで駆け抜ける、そんなお話です。


◆キャラクターたち
脚本・演出の大河さんとほかの出演者の皆様は知り合いです。ということで、それぞれの役者さんに合った、もしくはたぶん大河さんがやらせたいとおもっている、そんなキャラがたくさん出てきました。そのおかげもあってか、どのキャラも魅力的でした。主人公のラゴは普通!とにかく普通!なんて言われてたけれど「普通だけどカッコイイ」っていうある意味これも少年漫画の王道をいくキャラクターで、クライマックスではやっぱり主人公補正がかかってかっこよかったし、あとツッコミキャラかつ場を回していくキャラも演じる藤原さんぽくて好きだな~と思いました。それから植田さんのキャラケンは「かわいい!」ってイメージが先行しがちな彼にきちんと「ちっちゃくても(重要)かっこいい」っていう役が与えられていてそれも痺れましたし、大河さん自身が演じたアスラはもうなんかそのまんまでした。やりたいこと詰め込んでるかんじ。おいしいとこ持ってくのもずるいかんじ。そして汐崎さんのアベスター、加藤さんのビーマはもう、ずるいですね…ずるい。アベスターは仮面キャラ、ビーマはくノ一だったんですが、もう、ずるかったです。久々にあんなひどい出オチを見た。しかしビーマがわたしの周辺ではすこぶる好評でくノ一恐ろしいなと思っています(詳しくは加藤さんご本人様の写メをご覧ください。わたしの口からは、とても…)。あと若井おさむさんが演じられたテッパ。若井さんの正式な参入発表がけっこう遅めだったのですが、あれ若井さん抜きだったら逆にどんな話になってたんだ?ってくらいテッパ大活躍でした。すごい。殺陣がぬるぬるしてるのがおもしろかったです。
いま紹介したのは虎ノ穴メンツでしたが、相手となる龍ノ巣のみんなもほんっとに魅力的でした。むしろ龍ノ巣のほうがすきになっちゃったくらい。川隅さんのシャモンは最高でした、とにかくかっこいい、かっこいいしか言えないです。新良さんのバティちゃんはナイスバディからお名前が来てるんでしょうか?などという勘ぐりを…(笑)、お色気担当、眼福でした。そして池永さんの演じるコクテン、終始かわいく、後半の見せ場もこれまた王道感があって(撃たれるとこまで含めて王道!)そうそうこれこれ!と嬉しくなりました。和泉さんのハザマはぜったいラスボスだよと思ってたら案の定、といいますか(笑)。ザビエルがすごいツボです。
っていうふうに、キャラクターそれぞれがしっかりしていて、それぞれしっかり自立していて、とてもよかった。アンサンブル含め無駄なキャラがひとりもいないっていうのは、うれしいことです。ちなみにわたしが好きだったのは、龍ノ巣のシャモンとコクテンです。シャモンはいわゆる「敵キャラ」ですがこのひともまた信念を持った人で、そしてアスラとライバルになって拳でぶつかり合う人だったのですが、敵だけど自分の正義をしっかり持っている、絵にかいたようなライバルで、熱くてかっこよくて、目が離せませんでした。コクテンは天才ちびっこですがその喋り方と愛くるしい見た目がツボです。頭に乗っかってる鳥の巣がかわいかったです。
ということで、敵味方関係なくみ~んな魅力的で、よかった!見てて飽きなかったです!


◆バカフキ!の魅力とか
さっきから何度も言ってるんですがとにかく王道で突き抜けてて勢いがあるんです。パンフとかにも書いてあったのですが子供のころにあこがれていたヒーローものをそのまま具現化した、みたいな話。初脚本だからこそこういうまっすぐなお話になったのかな~とかも思ってます。小慣れてきたら、もっと練りたくなっちゃいそうだ。

敵と味方のキャラクターを紹介したりそれぞれ属性があったりちゃんと1対1で戦ってひとりずつ抜けて行って最後は主人公VSラスボスの構図になったり敵が実はいいやつ?だったりいいやつ?に寝返ったり逆に裏切ったと思った味方がまたこちらに戻ってきたり男の子だと勘違いしてた子が女の子だったり最終的に敵もなんか仲間っぽくなって真の敵を倒したり…ぜったいどこかで見たことあるような、いわゆるベタな、しかしそのベタが嫌ではない、そういうストーリーが作品にマッチしていたのだとおもいます。

それからまっすぐな台詞もよかったです。アスラとシャモンが闘いながら、お互い戦なんて嫌なのにどうして闘ってるのかと魂をぶつけあうシーンがすきでした。今回の話ではアスラが所属している虎ノ穴がメインだったのでシャモンは「敵」になったわけですが、シャモンが絶対悪なのではなく「正義の反対はまた別の正義」というこれもある意味王道展開。戦なんて早く終わらせなくちゃいけないんだ、俺の子供たちの代まで残しちゃいけないんだ、だから俺らが勝たなきゃいけないんだ、そう叫ぶシャモンに「じゃあ見ず知らずの代になら残していいのかよ!」って言うアスラの一言ではっとさせられたのもよかったです。シャモンたちのやりかたでは表面上は収まるかもしれないけれど、結局またおなじことの繰り返しになってしまう。人間なんだから戦するんだよしょうがないことなんだよ!って、一見後ろ向きなアスラの意見も筋が通ってて、お互いにそれぞれの正義があって。またアスラが主人公ではないからこういうことが言えるんだろうな~とおもったのもなるほどってかんじでした。
主人公のラゴはラゴで、最終決戦のときに自分の思いをハザマにぶつけます。普通だ普通だ言われてきた男の普通だからこその信念というか。「自分はこの世の中のすべてを見ることはできないからいまできることをするだけ」「人が人を下に見て人を殺すことは戦で(同等の相手として)人を殺すよりも嫌なことだ」っていう。結局いろんなキャラが出てきてもラゴがしっかりとした主人公なんだなーって。主人公が主人公しているのがすきなので主人公補正で薬に打ち勝ってしまったあたりもわたしはすきでした。しかし理由がありそうなのに敢えて触れなかったのは続編への布石でしょうか…。

そんでもって殺陣!アクションがすごかった!事前の稽古場生放送でアスラとシャモンの殺陣シーンをやってくださったのですがそのあとふたりとも喋れないくらいぜえはあしていて…そんな殺陣がもうこれでもかってくらいあって。みんなそれぞれ殺陣に特徴あったのもすごいよかったです。シャモンの武器がやっぱりすきです。テッパもがんばってたのでつい見てしまいました。サーベルぶんぶん振り回すときのブォンって音も好きでした。笑った。

とまあ、魅力的ではあったのですがひとつどうしても腑に落ちないとすれば龍ノ巣の新兵器である薬(飲むと強くなるけど副作用で苦しみ、抗体がないと死に至る)を、虎ノ穴メンバーも軽率に服用してしまったことでしょうか…。ひとりめのキャラケンはその前から薬を意味深に見つめていたりとかしたし、忍術が弱い=戦闘で役立たないことを気にかけてる=強くなりたいと思っていたって背景があったり、薬を飲んだことで「どうせ死ぬなら」って台詞が生まれたので意味のある行為だと思ったんですが、ラゴとアスラまで薬使う必要があったかな、と。薬は敵が使っているいわゆる「敵である象徴」だとおもったのでそれを主人公であるラゴとか熱血アスラが使うのがうーん?うーん?ってなっちゃいました。ラゴは薬に打ち勝った~!っていう展開が最後にあったのでそのかっこよさの演出のためと思えばまだわかるんですけど、アスラはシャモンに強さとはなにかと問いかけておいて結果薬に頼ってほしくなかった!ってのが本音です。おまえはそんなものに頼ってるから強くなれねーんだよ(意訳)みたいなこと言っておきながら最終決戦になったら薬を使ってしまったアスラはちょっとなんだか、うううん…ってなりました。やっぱりああいうのって敵が使うからいいのであって、主人公サイドに軽々しく服用してほしくなかったな、っておもいます。それだけです。


さて、舞台バカフキ!この作品は内容もさることながら「舞台そのもの」がとても好印象だったのでこちらにも少し触れてみたいと思います。


◆徹底したネタバレ防止
このご時世、どうしてもネタバレ、というものを目にする機会が増えました。ツイッターを始めとしたSNS、それからこういう個人ブログやらなにやら。舞台ですとやはり初日終わった後はどうしてもネタバレに触れる確率が高くなりますし、ネタバレとはいかずとも行った人の感想でなんとな~く内容を察してしまうこともよくあります。もちろんほかのひとの感想やネタバレを参考にしてその舞台を見に行くかどうか判断したり、ということもあるのでネタバレが一概に悪いとは言えませんしむしろわたしはそういうのガンガン見てしまうタイプなのですが、とにかくこのバカフキに関しては、徹底してネタバレを避けよう、そういう意思がびしびし見えました。
まず、キャラクター写真公開の制限。見せられるキャラのお写真だけを事前にツイッターで公開していましたが、ほんとうは全員の写真を伏せておきたかった、というのですからあっぱれです。結局公開されたのは5人のみ。ほかのキャラは舞台でのお楽しみ、ということになりました。
そしてネタバレ禁止のお願いの周知。大河さんをはじめとする出演者のツイッターなどで「ネタバレはやめてくださいね」のひとこと。これだけでもファンはだいぶネタバレすることを避けるようになりますし、まだ観ていないひともネタバレを避けるよう気を付けることができるのでよかったとおもいます。
さらに物販でもこれは徹底。開演前、ブロマイドが売られていないキャストがいるなんてこと初めてだったのですごいな…!と思いました。幕間で全キャラ解禁になったんですが、その手間がすごい。あとパンフレットもネタバレがあるから開けないでねって注意があったり、ラバストも初日は開演前に取り扱わなかったり…ロビーに「大河からのおねがい」っていう手書きのお願いが貼ってあるのもすごかったです。
とにかくネタバレだめぜったい!っていうのが徹底してた。特に加藤さんのビーマとかあれは初見のインパクトが大事(それを出オチと言う)だとおもうので、あのくらいきっちりやってくれてよかったです。テッパもシークレットだったのは敵か味方かがわかりづらかったからなのですね。

 

◆稽古場生放送!
こういうの待ってたー!!!大河さん曰くずっとやりたいやりたい言ってなんとか実現してもらった、とのことでしたが、ニコニコ生放送を使った稽古場からの生中継が公演前にありました。稽古場の様子ってDVDの特典などで入ることもありますが、それも休憩時間とかのきゃっきゃしている風景が多く、実際がっつり返し稽古とかしてるところなんてそうそう収録はされないので、この稽古場生放送ではそういうところもしっかり見られてよかったです。なにより、公演前に見ることができてよかった。徹底したネタバレ防止してるくせになぜ稽古を放送?って思われるかもしれませんがそこはきっちりしていて、ほんと冒頭部分だけお見せします、ってかんじだったのでむしろ世界観とか雰囲気とかがわかりやすくてよかったし、実際本番を見たときに「ああこのシーン、頑張って練習してたところだな~」って箇所が何個かあったのもすごい楽しかったので、公演前の生放送はとってもうれしかったです。
前述のとおりアスラとシャモンの殺陣を見せてくれたりして、ああこんなにも必死にやってるんだなあって当たり前のことを改めて実感したりしました。この生放送、もっといろんな作品でやってくれないかなと切に思います。すごくたのしかったし、じつはこの放送を見て観劇を決意しましたので、宣伝効果的にもばっちりだとおもいます。

 

◆設定資料集
近頃流行りの「プレミアムシート」。前方席+特典で割高なお値段でご用意いただけるという座席です。正直この商法はすきではないです。特典も良し悪しあったりするものね…ってことでもはやプレミアムシートの特典には期待してなかったんですけど(それでもありがたいことにプレミアムシートをお譲りいただいてホクホクはしてましたすみません)、公演数日前に特典内容が発表されてびっくりしました。今回のプレミアム特典は「設定資料集」でした。もう、わたしがいつもいつも欲しい欲しい言ってるやつです。喉から手が出るほど欲しいやつです!すばらしい!すばらしいバカフキ!
舞台をどう見るかで欲しいものが変わってくるとは思うんですが、たとえば役者さん目当てで行って内容はそんなに気にしないよってひとなら写真とかのがうれしいのかな~とかもおもったり。でもやっぱりわたしはせっかく高いお金出してるんだから普通の物販では手に入らないようなそれこそプレミアムなものが欲しいし、そしてどちらかというと役者さんうんぬんよりもどうしてこのキャラがこういうことになったのか、みたいな設定を教えてもらうほうがお写真セットより断然嬉しかったので、とにもかくにも非売品の設定資料集ていうのは最高の特典だと思いました。しかも装丁がしっかりしててずっしり重くて、最高でした。せっかくのプレミアムシートなんだから、他作品もこういうプレミアムな特典にしてくれるといいのになって思います。パンフレットとかお写真とかはもういいんだ…!ほかのがほしいんだ…!しかしやっぱりプレミアムシート商法はすきではありません。早くブーム去らないかなあ、無理そうです。お金を貯めるしかありません。

 

◆グッズとかパンフレットとか
グッズ、パンフレットに関してはバカフキ以外でも充実しているところはたくさんあるとは思いますが、久々にああしっかりしたパンフを読んだな…って気持ちになったので一応書いておきます。パンフレットはお写真を載せればいいってもんじゃないと思うんです…!というのがわたしの主張です。お写真欲しかったらブロマイド買うので、パンフレットはどちらかというと文字が見たい。設定資料集とまではいかずとも、主演と脚本家の対談とか、せめて「ごあいさつ」みたいなのがあったりとか、おおまかなあらすじが載ってたりとか、そういうものが書いてあるのがパンフレットだと思っているので、今回バカフキパンフレットは久しぶりに「ああパンフレットだ…」って思いました。
それからグッズのラバーストラップはかわいくて好みでした。せっかくガチャガチャ回してよくわからない鏡が出てくるよりラバストのガチャガチャのほうが舞台の内容に沿っていていいんじゃないかな?とおもいます。ていうか舞台でガチャガチャをするならせめて舞台に関連する内容のグッズにしてほしいです…せめて…。その点バカフキラバストはとてもとても舞台に関連してるし、イラストにしたことで「キャスト」ではなく「キャラ」で売っている点もいいなとおもいました。これもいろんな作品でやってほしいです。ラバストまでとはいかずとも、モチーフアクセサリーとか、売れそうなんですけどね。
あとDVDの特典を早めに教えてくれるのもいい点だなとおもいました。なにかわからず予約するより安心できて良いです。珍しく(笑)バクステつくそうなのでこちらもたのしみです。

 

 

ということで長々と書いてしまいましたがとってもエンターテイメントでとっても盛り沢山な作品でした。そして内容よりもその売り出し方、作品への姿勢が印象に残った、と言っても過言ではないくらい舞台に対する丁寧な気持ち、そして受け手であるわたしたちのことをよく考えてくれている+わたしたち受け手がなにをすれば喜ぶかよくわかってらっしゃるというその体制がとてもありがたく、そしてとても心に残りました。なんだか続編、もしくはまた大河さんプロデュースの作品が上演されそうな予感がしているので、またこういう舞台が産まれたらいいなと思いますし、こういう作品がどんどん増えていったらいいな~ともおもいます。とりあえず他作品もバカフキを見習ってもっとパンフの内容をしっかりさせてプレミアムシートの特典もいろいろ遊んでみたらいいと思うの!っていうのが結論になります。

 

とっても突き抜けててとっても清々しい舞台でした!また次があったらぜひ観に行きたい一作です!